加速する出店スピードを支えるエリアマーケティングソフト株式会社ニトリホールディングス
- 出店の判断をする上層部や他部署に対して資料を作成し、信頼できる精度の高い情報が必要
- 現地視察にも行くため、かなり多くの労力が必要
- エリアマーケティングソフトの精度が上がったサービスを使用し、効率を上げたい
- 業務効率が50%向上
- 2倍の出店検討が可能になり、今後の出店加速を後押し
- 3.5時間かかった既存店のカード分析が1時間に短縮
店舗開発本部 調査部 部長(現 株式会社島忠 取締役 社長室室長 兼 島忠店舗開発部 部長)
ニトリグループは、従来の「製造小売業」と呼ばれる事業モデルに、物流・IT機能をプラスし、新たなビジネスモデル「製造物流IT小売業」を確立させ発展。その大きな特徴は、お客様に低価格・高機能の商品をお届けするために、中間コストを極力削減すべく、商品の企画や原材料の調達から製造・物流・販売に至るまでの一連の過程においてプロデュースしていることにある。
株式会社ニトリホールディングス(以下ニトリHD)は、2010年にニトリグループの組織一新を機に発足された持株会社である。その傘下に店舗運営会社の株式会社ニトリを筆頭として、株式会社島忠、製造会社、物流会社、広告代理店等を持ち、グループ全体の経営判断を行っている。その中でも、店舗展開の決定は、ニトリグループのさらなる成長のための重要な業務である。ニトリグループは、2003年に第2期30年計画を策定し、2022年2月20日現在、国内外を合わせて801店舗、売上高8,115億円を達成した。さらに2032年には3,000店舗、売上高3兆円を目標としている。
お話を伺ったのは、MarketPlanner GIS導入当時ニトリHD 店舗開発本部調査部の部長(現株式会社島忠取締役社長室室長 兼 島忠店舗開発部部長)青山夏樹氏。調査部では、新規出店の根拠となる資料を作成し、その判断をする上層部に対してプレゼンテーションを実施している。青山氏を筆頭とした各メンバーは、新規出店に必要な資料を作成するため、より精度の高い情報を収集し、日々あらゆるデータを検証している。その中でMarketPlanner GIS が果たす役割や、導入したメリットなどをお聞きした。
ニトリグループの強みは
私の個人的な考えですが、ニトリグループは、環境が変化する時ほどチャンスだととらえ、リスクを恐れずに経営を行ってきたことに特長があるのではないでしょうか。製造や物流に関しても、グループで保有することのリスクを恐れて他社に任せるのではなく、自社で行っています。そうすることでノウハウが蓄積され、それが最終的に自分たちの利益につながると考えているからです。
例えば、私たちは、お客様が生活に豊かさを感じていただくために、インテリアのトータルコーディネートをご提案しています。そこで、多くの点数をお買い上げいただくためにも、一点一点の価格は安くなくてはなりません。そうしたときに、グループで製造や物流を持つことで、あらゆる過程でコストを下げるための検討が可能になるのです。製造現場では素材を検討する際に原料から検討を重ねています。そうすることで他社では真似できない、本当に価値あるものを安くお客様に提供できるようになります。また、それがお客様に受け入れられてきた結果、出店ペースにつきましても、最初の100 店舖まで約20 年間かかりましたが、それ以降200 店舖目で約6 年間。300 店舗目で約4 年間というように、どんどんスピードを上げられるようになり、現在では国内外を含め年間100店舗の出店を目標としています。
リスクを恐れずに経営を行ってきたことで、そういったノウハウを蓄積してきたことが私たちの強みだと思います。
調査部の業務内容、またその課題とは
私たち調査部の業務の一つに、出店の判断をする上層部や他部署に対して資料を作成することがあります。そこでは信頼できる精度の高い情報を提供することが大事です。そのためにも、新規出店を計画する際は、その場所で出店したときの売上予測を作成するため、まず似たような環境にある既存店のデータを使います。また、候補地の商圏を予測するためにエリアマーケティングソフトの自動車商圏を使うとともに、必ず現地に行きます。その際には、候補地周辺の競合するような店舗も見ておかなくてはなりません。かなり多くの労力が必要な作業なのですが、できるだけ精度を高めつつ、何とか省力化を図り効率を上げたいと考えていました。
今後の店舗展開については
ニトリの業態は、だいたい1,000 坪から2,000 坪が基準となるホームファニチャー(家具)とホームファッション(家庭用品)を置いた店舗が中心ですが、その業態はすでに日本国内全都道府県に行き渡っています。従来型の店舗はおよそ人口15 万人以上の都市を中心に展開してきましたが、現在は10 万人規模の都市にも展開し、地方の第二都市へも店舗展開しています。また、都市型の店舗展開も行っており、電車で来店するお客様をターゲットに、デコホームという業態で100 坪から250 坪くらいのホームファッションに特化した新業態を大都市圏の地価の高い場所などでも展開しています。今後さらに店舗数を増やすためには、このような業態も重要になってくると考えています。あとは海外ですね。
導入後の効果
業務効率が50%向上!
2倍の出店検討が可能になり、今後の出店加速を後押し!
3.5時間かかった既存店のカード分析が1時間に短縮
ニトリHD では、さらなる成長を遂げるため、今後も出店を加速させていく。そのような中、調査部は非常に重要な役割を担うことになる。エリアマーケティングソフトは、精度の高い情報を収集し、効率よく業務を遂行するのに役立つだけでなく、企業の成長の鍵を握るほどのソフトといえる。ここではMarketPlanner GIS の優位性などについて話を伺った。
MarketPlanner GIS 導入前の現状
私たちの業務では、新規出店計画のための資料として、その店舗と類似した既存店舗の各種データを利用します。例えば、「車走行で店舗までの時間が5 分・10 分・15 分かかる場所では人口の一人あたりの購買額がいくらか」といったデータ分析をします。そのデータをニトリカード(いわゆる会員カード)から抽出し、既存店カード会員の利用状況を分析するという業務をしています。この業務を行うために以前導入していたエリアマーケティングソフトでは、必要な情報を得るにはその都度煩雑な設定が必要でした。さらにそのソフトで出したデータを今度は表計算ソフトに手作業で落とし込むという作業があったため、かなり手間がかかっていました。
MarketPlanner GIS 導入の理由
データ分析に多くの時間をかけてしまっていては、新規出店数が200 店舗300 店舗と増えていくという状況に対応できないと思い、業務の省力化が図れないかと考えていました。当然、既存のエリアマーケティングソフトの会社さんにもそのような要望は伝えていたのですが、なかなか改善されない状況にあったので、エリアマーケティングソフトの見直しを検討しました。そんな中、パスコさんにも要望を伝えてみると、「MarketPlanner GIS で現状よりも業務の省力化が可能です」という答えをいただきました。実際検証してみると複数店舗の処理が同時にできることもあり、作業効率も良かったです。数社からご提案をいただきましたが、使いやすさなどの点で総合的に一番私たちの業務に適していると判断し、導入を決めました。
MarketPlanner GIS 導入のメリット
既存店カード会員の利用状況レポート作成業務で、以前のエリアマーケティングソフトでは、レポートを作成するのに1 店当たり約3.5 時間かかっていました。MarketPlanner GIS を導入した後は、設定が簡単になったことや、複数店舗の同時処理ができるようになったため、約2 時間になりました。さらにカスタマイズ対応を行ったことで、作業時間が平均すると1 時間ほどになりました。
現在、MarketPlanner GISを導入した東京で、出店を検討している物件数と、店舗開発担当者数を考えると、年間360時間の業務時間の圧縮ができたといえます。業務効率が50%向上し、2倍の出店検討が可能になったことは、今後の出店加速の取り組みの後押しになっていると思います。2032年までに3,000店舗を目標にするのにあたり、この業務時間の圧縮は、かなり大きなメリットになっています。
さらに、わが社の独特の配転システムにより、人の入れ替わりが激しいのですが、今までのマーケティングソフトは作業の手間が多く、新しく配属された人が習得までに時間がかかっていました。しかし、MarketPlanner GISの場合は、豊富な分析機能やボタン一つで業務が進むという使い勝手の良さから、社員教育にも一役買っています。
ソフトの切り替えにあたり不安はありませんでしたか?
カスタマイズを行い、操作をわかりやすくしたとはいえ、リプレイスをする際にはやはり、操作習得や以前のソフトとの継続性が保てるかなど、大きな不安はありました。しかしその不安に対しパスコさんは、担当者全員の前で勉強会を開いてくださったり、以前のソフトで作成した資料と継続性を保つため、以前のデータも使えるように対応していただいたりしました。
さらに、私たち調査部が経営陣にプレゼンテーションをするとき、人口密度を地図上に表示する際の色などが以前のプレゼン資料と変わってしまうと相手に誤解を与える可能性があるので、そこでも弊社の希望に合わせてご対応いただきました。そういった細かな要望にもご対応いただけたことで、不安はなくなっていきました。
ライセンスの追加の理由を教えてください
当初は、既存店カード会員の利用状況レポート作成のために1ライセンスの導入を決めました。その後、新規店舗出店検討時の商圏分析でも利用できるように利用ライセンス数を増やしました。商圏の予測をする際には、現地で車を走らせてみて、店舗までの到達時間などに誤差がある場合は、データを修正することがあります。その作業でもMarketPlanner GISは作ったデータの修正や加工も簡単で、思った通りの作業ができるので非常に使いやすいと実感しています。
私たち調査部以外でもMarketPlanner GISが利用可能な部署があります。たとえば、出店した後の分析をする部署や、販売促進戦略を検討する部署などでもエリアマーケティングソフトを使っています。今後は、社内で同じ地図を使い、分析結果を共有していくことで、さらに出店の精度を高めていきたいと思います。
パスコに対する評価は
商圏分析に長けている会社という印象があります。だからこそユーザー目線で使いやすい非常に汎用性の高いソフトが提供できているのだと思います。さらに、要求した仕様に関してもきちんと対応して作っていただける。意外とそれができるところは少ないのではないかと思います。導入した後も、いろいろと要望や質問などを聞いてもらえるサポート体制や技術の専門のスタッフがいるというのは大きいと思います。