トポロジとは?
トポロジとは、ギリシャ語を語源とした位置を表す言葉「トポ」(topo)と学問を表す「ロジ」(logy)が組み合わされた言葉で、日本語では「位相幾何学」と訳されるケースが多く見られます。
GISにおいて「トポロジ」とは「図形と図形の空間的な位置関係を管理するモデルまたは機能」を指します。つまり、ベクトルの図形を表現するXとY座標(地理座標)の他に、ベクトル図形同士に、「接続関係・隣接関係・面認識」を定義したものだと言えます。
GISのデータ作成においては、トポロジ構造をもっているかどうかというのは重要な要素であり、「トポロジ構造が扱える機能があるGISエンジンは高機能である」いっても差し支えないでしょう。
トポロジの構造について
トポロジは大きく3つ位置関係「接続関係・隣接関係・面認識」の情報を持っています。
この3つを簡単に説明いたします。
1、接続性
図①のように、①~⑥の線はそれぞれ「始点」と「終点」という情報を持っています。これにより線の進行方向が定められます。また、③、④、⑤,⑥の線のように同じ点を共有しているという情報をもつことができます。
2、隣接性
図②のように、隣り合う面は境界線を共有します。図②においては、面図形Bと面図形Dは線⑥を共有しています。また、「接続性」の項でも述べたように、それぞれの線には進行方向が定義されているので、左側にある面と右側にある面とがわかります(図②で、Aというのは、各線の左右に面図形を持たすために便宜的に設定されるものです)。
3.「面認識」
面認識とは「面図形は、線図形によって構成されている」ことです。「隣接性」で、線の左右に面が存在するのと同様に、それぞれの線図形は、2つの異なる面の構成要素として存在しています(たとえば、線⑧は面図形BとFのリストに出てきます)。
トポロジの構造を持つメリット
なぜ、図形がトポロジの構造を持つ必要があるのでしょうか?下記の例で説明します。
下の図4の線は電線を表し、点は電柱を表すものとします。
トポロジ構造を持っている場合
「電線③~⑥がつながっている、電柱Dを地図上でつかんで移動します。電柱Dと電線③~⑥はトポロジ構造の中で接続関係が定義されているため、電柱を移動すると自動的に、電線も移動するようになっています。」
トポロジ構造を持っていない場合
「電柱と電線の間に接続関係が定義されていないので、電柱Dだけが、地図上で移動してしまいます。あとから、電線(3)~(6)を、電柱Dにつなげるように一つずつ移動させなければなりません。」
このように、トポロジ構造を定義することで、図形の編集に時間がかかってしまうといった悩みから開放される他、色々な図形の編集や、高度な空間解析、高速な空間検索ができるようになるのです。