分析エリアとは?

GISエリアマーケティングツールを使って分析作業を始める場合に、まず分析作業の範囲を決める必要があります。この最初に決める分析作業の範囲のことを分析エリアと呼びます。

分析エリアを設定する理由

データの範囲を定めずに分析を行おうとすると、分析に必要なデータ類を日本全域分必要となり、使用するデータ量が膨大になってしまいます。例えば分析に必要な統計情報を切り出す場合でも全国分が切り出されてしまうことになり、その結果パソコンのメモリやハードディスクの容量を無駄に消費してしまうことになります(図②)。

図②

また、全国分のデータを使って一度に分析を行おうとするとパソコンの処理能力を超えてしまい、分析に長い時間が掛かり、最悪な場合分析そのものが出来なくなってしまいます(図③)。

図③

そのような事態を避けて快適に作業を行うためにも適度な範囲で分析エリアを設定する必要があります(図④)。

図④

分析エリアの範囲の定め方

「分析エリアの範囲って具体的にはどのくらいの範囲ですか?」という質問を頂くことがありますが、分析エリアには決まった適切な範囲というものはありません。なぜかというと、分析エリアの範囲はどのような分析を行いたいのかによって適切な範囲が異なるからなのです。
たとえば日本全国に分布する自社店舗から10分、20分の運転時間商圏を作成して商圏内の人口数や世帯数を集計して分析したい場合、広範囲の分析エリアを設定してしまうと分析作業に非常に時間がかかってしまいます。 道路ネットワークを使った運転時間商圏の作成や商圏による統計情報の集計作業は、GISエリアマーケティングツールの中でもパソコンのCPUやメモリに多大な負担を掛ける作業なのです。(図⑤)

図⑤

そのような作業を行う場合は1つの分析エリア範囲を3、4県くらいの範囲に、店舗の密集度によっては1県程度の範囲にまでに絞り、複数の分析エリアに分けてから分析作業を行う方がストレスなく作業ができます。(図⑥)

図⑥

逆に商圏作成などは行わず、単純に日本全国に広がる自社の店舗とその顧客の分布状況を一目でわかるように見せたい場合は、作業的には店舗と顧客の登録とそのシンボル設定だけなので負荷の掛かる作業がほとんどありません。思い切って分析エリアを北日本と南日本の2つにしてしまうという方法もあります(図⑦)。

図⑦

また、月次データによって同じ分析エリアにレイヤーが増えていくことが考えられるような場合も、レイヤーが増えていくにつれて分析エリアの容量が大きくなって重くなることが考えられますのであまり範囲を広くしない方がよいかもしれません。(図⑧)

「運転時間商圏などの道路ネットワークを使った商圏を作成する」「半径10km、20kmといった大きな商圏や大量の商圏を使って集計作業を行う」「統計情報を多用して分析を行う」このような処理負荷の大きな作業を行う場合は分析エリアの範囲を広くしすぎないように気をつけて作業範囲を設定することをお勧めします。

図⑧

分析エリアを適切な範囲で設定することによって、その後の作業の快適さが違ってきます。この設定作業は非常に時間がかかりますが、作業がし易い分析エリアの範囲を見つけることが、適切な店舗商圏の設定に繋がり、最終的には来店客増に結びつきます。