GISとは?

「Geographic Information System(地理情報システム)」を略して「GIS」と呼びます。この「地理情報システム」とは「デジタル地図の画面上に様々な情報を重ねて、それらの情報を用いて様々な分析を行うシステム」です。
以下具体的な例を挙げてご説明します。

複数の情報が重なった地理情報システムデータ=GISデータ

GISの例を見て行きましょう。

右図①は、パソコンの画面上に表示された地図画面です。このままでは市販の地図をスキャナなどで取り込んだグラフィックデータと変わりません。GISの場合、この地図画面の上に様々な情報を重ねていくことができます。

図① パソコン上に表示された地図画面

例-1.「図①の地図画面上に自宅のシンボルマークと会社のシンボルマークを重ねて表示する」(図②)

これは、GISに「自宅の住所」と「会社の住所」を情報として与え、その住所に相当する地図上の位置に、自宅と会社のシンボルマークを設定させたためです。このようにGISでは地図のグラフィックデータだけではなく、「空間情報」をデータとして持っているのが特徴です。

図② 自宅と会社の位置シンボルを表示

例-3「.地図上の会社から半径2kmの円を描いて、その円内の人口数を集計する」(図③)

地図でどのように会社から2km圏内の人口を調べたのでしょうか?

図③ 円の中の人口数を集計

非表示にしていましたが、図③には市区町村単位の統計情報ポリゴン(図④)を地図画面上に重ねていました。その統計情報ポリゴンが持っている「人口数」を、GISの機能を用いて半径2kmの円の面積割合(注)で集計を行い、そのデータをラベル表示させていたのです。

(注):市区町村のポリゴン内の人口が100,000人とし、円の面積がその市区町村の100分の1とすると、円内の人口 = 100,000人 × 1/100 = 10,000人となる)

図④ 図③で非表示にしていた人口数のポリゴンデータ

以上のように、GISでは地図画面上に様々な情報を重ねて持つことができ、それら空間情報を空間解析などの多彩な機能を用いることで高度な分析が行えます。

GISの応用事例

GISが単なる地図画面の表示ソフトではなく、色々な情報を重ねて分析するデータであることは前章でご説明いたしました。では、GISを応用した代表的なシステムやツールを紹介します。

「カーナビゲーション」
皆さんが一番身近に使っているGISがカーナビゲーションのルート検索、渋滞回避ルート、最寄りのスポット検索などその機能はGISそのものです。

「エリアマーケティングツール」
店舗を出店する、効率のいい店舗展開を考える、または、地域の営業成績の分析や、チラシの配布計画を考えるなど、営業という行為と地図は昔から密接な関係があります。地域の空間情報を処理し企業戦略に有用な情報を導き出すためにGISは多くの企業の戦略ツールとして利用されています。

地域のインフラ整備・管理や街づくりのためのシステムで自治体政策を支援
電気・ガス・上水道・下水道などのライフライン、道路や都市の計画といった街づくりなどにも地図は必需品です。自治体やライフライン関連企業では施設や設備の情報をGISを使って管理・運営に役立てています。